META NAME="ROBOTS" CONTENT="NOINDEX,NOFOLLOW,NOARCHIVE" 脱「テレビ」宣言・大衆演劇への誘い 剣戟はる駒座
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2019-07-05

劇団素描・「剣戟はる駒座」・《芝居「雪と墨」・座長の「至芸」と勝小虎の「魅力」》

【剣戟はる駒座】(座長・津川竜)〈平成25年3月公演・浅草木馬館〉
芝居の外題は「雪と墨」。兄の竹田孝造(座長・津川竜)は、大工職人の現場を監督する役人で、妻・小夜(千晃らら)と「上流生活」をしているが、もとはといえば町人あがり、同居する老母(晃大洋)の「貧乏臭さ」が気に入らない。今日も今日とて、大工の弟・留吉(勝小虎)の弟分・三公(津川しぶき?)が、屋敷にやって来て、留吉からのプレゼント(駄菓子)を置いていく。それを見咎めた妻の小夜、「まあ、汚らしい。あのような下世話な者たちが、出入りすることはお断りしていたのに・・・」と言って、夫の孝造を呼び出す。孝造も同意して「お母さん、ここは武家屋敷、近所手前の外聞もあります。行動を慎んで下さい」と言いながらも、母の差し出す駄菓子を口にして「美味い!おまえも食べてごらん」、小夜もまた「ほんとに、美味しい」などという、身勝手な「上流」振りが浮き彫りされて面白かった。以後は、お決まりの「姑いじめ」、名優・晃大洋、いじめられながらも、したたかに「いじめ返す」風情が欲しかったが、なぜか「いじめられっぱなし」。それはそれでよい。本日の第1部ミニショーは「小虎まつり」、芝居の主役も勝小虎だとすれば、脇役は「目立たぬ」ことが肝腎だろう。舞台は、お決まりの筋書き通り、①孝造が留吉と兄弟の縁を切り、老母も追い出す。②普請現場で、再会した留吉母子の様子(貧乏臭さ)侮蔑、留吉の額を割る。③その様子を窺っていた普請奉行(勝龍治)が「一芝居」、留吉を新奉行に取り立てる。④その披露の場で、三公が小夜をこき使う。といった段取りで、大詰めへ。新奉行になりすました留吉役の勝小虎、渾身の力を振り絞って、兄・孝造に諫言。「兄貴!おめえは、そんなお人ではなかったはずだ。やさしい、親孝行な兄貴だった。頭が良くて、努力家で、オレは誰よりも、おめえを尊敬し、自慢していたんだぜ・・・」そんな、言葉を聞きながら、孝造の力が脱けていく。「そうだ、そうだったよな!留吉、許してくれ、おっかあゴメンよ」という心中を、座長・津川竜は、横向きの「首・肩・背中」(所作)だけで描出する。文字通り「至芸」という他はない。諫言が終わった後、目を開いて留吉と向かい合う時、竹田孝造は、間違いなく、以前の「町人」に戻っていた、と私は確信する。その様子を見ていた小夜、「こんな場所にはいられません。さあ、あなた帰りましょう」と、孝造を引きずっていくが、孝造、立ち上がるやいなや刀を抜いて、小夜を一刀両断、自分もまた、その刀を腹に突き立てた。舞台は一瞬にして愁嘆場。驚く一堂の面々を背景に、幕は下りる。
今月公演の舞台を見聞するのは、初日に続いて2度目、その時の感想を私は以下のように綴った(一部)。〈極め付きは、勝小虎の女形舞踊「あんた」(唄・吉幾三)、歌を聴くだけでは「なんぼのもん」と思われる作物であっても、舞踊が添えられることによって「名曲」に変貌する、その典型的な舞台であった、と私は思う。この勝小虎という役者、2006年9月より劇団参加、同期の不動倭のかげに隠れて、あまり「目立たない」存在だが、どうしてどうして、その「目立たなさ」が「目立つ」という、「いぶし銀」の魅力をもっている〉。今日の舞台は、その勝小虎が「目立つべくして」「目立つ」存在、どこか木訥で、どこか温もりのある「芸風」もまた、彼の魅力であることを再確認した次第である。舞踊ショー、晃大洋の「恋歌」(唄・八代亜紀)は絶品、とりわけ「こんなか細い私だけれど・・・」という件(くだり)の、戸惑う表情は極め付き、今日もまた大きな元気を頂いて、帰路に就いたのであった。
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(2009/08/21)
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2019-04-15

劇場界隈・「西脇健康ランドホテル」・《「剣戟はる駒座」の舞踊「哀愁列車」は極め付き》

大阪からJR宝塚線(7時55分発)で篠山口、福知山線に乗り継いで谷川駅下車(9時44分着)、そこから無料送迎バス(10時09分発)に乗ると、25分で「西脇健康ランドホテル」に到着する。(所要時間は約3時間)ただし、この送迎バスは水曜日、土曜日、日曜日しか運行しない。今日は日曜日なので大丈夫だと思ったが、念のため谷川駅の駅員に尋ねると、「さあ、ワカリマヘンナー、そんなバス、見たことアリマヘン」だと。ホテルに電話すると、「ハイ、バスは谷川駅を通ります」「10時9分ですね」「そうです」ということで一安心。やれやれと思ってマイクロバスに乗り込むことができたのであったが、最後尾の座席に座ったのが悪かった。ガタガタ、ピシピシ、グラグラ、「浪の瀬の瀬に揺られて揺れて」、「天然温泉・おふろと大衆演劇の王国」に着いたときは、身も心もフラフラ状態という有様・・・、しかし心配御無用「心とからだをゆっくり解きほぐして気持ちを軽くしてくれる・・・淡い湯けむりの向こうに見えるすべてが心地よく、湯面をゆきかう声と声。じっくりとゆっくりと時間を忘れて湯に染まる・・・これぞ心癒す最高のひととき」(案内パンフレット)と、きたもんだ。ゆっくり入浴後、午後1時から大衆演劇観劇。「剣戟はる駒座」(座長・津川竜)。700名収容の大広間は、ほぼ半分(団体客で)埋まっている。「大衆演劇の王国」にふさわしい客席風景であった。芝居の外題は「ヤクザの花道」。筋書きは単純、親分(勝小虎)を殺された一家三下の飯炊き(津川らいちょう)が、盲目の姐さん(芸名不詳の女優・好演)とともに、用心棒(座長・津川竜)の助けを借りて仇(勝龍治)討ちをするというお話。この劇団の特長は、座員(若手)の豊富さ(賑やかさ)、加えて、音響(芝居)の素晴らしさ。今日の芝居でも(おそらく)舞台に「集音マイク」を設置、役者の面々は(ピンマイクに頼ることなく、ハウリングに妨げられることなく)、のびのびと、思う存分に「自分の声」(肉声)で舞台模様を描出していた。私はほぼ3年前(平成21年7月)、この劇団の舞台について〈芝居ではピンマイクをはずし、役者の「肉声」(口跡)で勝負する、そのことが役者一人一人の「演技力」をどれだけ向上させていることか。集音マイク装置のない劇場では、役者の「声帯」「喉」を守るためにピンマイクの使用は「今や常識」だが、あえてその常識に挑戦、より「艶やか」、より「美しい」舞台を提供しようとする劇団の姿勢に脱帽する他はない〉と書いたが、そのことを今も、継続・実践されている座長・津川竜に心底から敬意を表したい。その結果、津川らいちょう、津川しぶきを筆頭に、賑々しい若手連中の「演技力」が間違いなく、着実に向上しているのだから・・・。加えて、舞踊ショー、(コントもどきの)「網走番外地」はお見事、懲役七年の刑に服す渡世人、それを見送る女房の相舞踊、入所前は乳飲み子(人形)だった娘が、出所時は10歳頃になって対面という場面が、役者を替えて二度繰り返されたが、二度目はなんと3歳児から次々と(5人の?)子役を総動員して対面する。女房は乳飲み子(抱きかかえ)を腹の中には次の子まで宿している、という演出は、抱腹絶倒の名場面であった。さらに極め付きは、座長・津川竜の「哀愁列車」、三人の若手を従え、宝塚「(淡島千景+涼風真世)÷2」然として登場(女形)、艶やかに黄色いハンカチを振りながら、(アップテンポで)「後ずさり」していく風情の中には、「今宵逢瀬を待ちわびる 君のしあわせ祈りつつ 旅にのがれる哀愁列車」「こらえきれずに見返れば すがるせつない瞳(め)のような 星が飛ぶ飛ぶ哀愁列車」(詞・横井弘)といった眼目が鮮やかに凝縮されている。その景色は、まさに「おもしろうてやがて悲しき別離かな」、斯界・組舞踊の「至宝」といっても過言ではあるまい。あの九州・玄海竜二一座「ヤットン節」と肩を並べる出来映えであった、と私は思う。なるほど、ここは「大衆演劇の王国」、はるばる来たかいがあった、というものである。望外の幸せを噛みしめて(マイクロバスの最前列に乗車)、帰路に就いたのであった。
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(2003/08/06)
三橋美智也

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2018-03-04

劇団素描・「剣戟はる駒座」〈倭組〉・《芝居「やくざ巡礼」の舞台模様》

【剣戟はる駒座】《倭組》(座長・不動倭)〈平成25年11月公演・千代田ラドン温泉センター〉
劇団のパンフレットによれば〈2013年9月より一座刷新の為、二座構成に改成した剣戟はる駒座。津川竜を総座長、勝龍治を総裁とし、二座の指導・育成に当たります。津川鵣汀・不動倭がそれぞれの座長に、津川しぶき・津川隼がそれぞれの副座長に昇格します。二座が二劇場それぞれ独立した形で公演する事により益々パワーアップする剣戟はる駒座にご期待下さい!〉ということである。なるほど、そうだったのか。だとすれば、これは単なる「暖簾分け」ではない。いわば鵣汀組が「本店」、倭組は「支店」ということ、「剣戟はる駒座」が「益々パワーアップ」を図れるかどうか、固唾を呑んで観劇しなければなるまい。芝居の外題は「やくざ巡礼」。兄貴分の佐太郎(勝小虎)の留守中に、その女房・おみね(芸名不詳・女優)を「物にしよう」とつけ狙う親分(ゲスト出演・ビリケン)と衝突、はずみで親分を刺殺してしまった富蔵(座長・不動倭)の物語である。子分たち(勝彪華・他)から「間男」の濡れ衣を着せられて、凶状旅に出ようとする富蔵に向かって、おみねが懇願する。「どうか私と倅の新吉(芸名不詳・子役)も連れて行っておくんなさい」。「それはできねえ」といったんは断ったが、よくよく考えれば大切な兄貴の女房と息子、守ってやれるのは自分しか居ないと、同行を承諾した。以後は、どこか「沓掛時次郎」の景色も添えられて、女、子連れの難行苦行が続く。終には、立ち寄った宿でおみねは病死・・・。やむなく富蔵は新吉の旅支度を整えて、祖父母宅への一人旅に送り出す。新吉を演じた子役、手甲・脚絆の巡礼姿になったとき、目にいっぱい涙をためての名演技、富蔵も涙、客席も涙、涙、涙・・・。「お見事!」という他はない。やがて、子分たちから「間男」の話を聞かされて、佐太郎が駆けつける。問答無用で斬りつけたが、富蔵は自刃。「こうでもしなければ、兄貴は俺の話を信じてくれないだろう」。佐太郎「すまねえ」と悔やんだが後の祭り、立ち戻った新吉を抱きしめながら、富蔵は絶命する、といった筋書きで、さすがは「剣戟はる駒座」、その名に恥じない名舞台であった、と私は思う。役者一同は、今回も「ピンマイク」を使わない。棒立ちの脇役は皆無、それぞれが、自分の役割を「表情」「所作」で精一杯果たしている。倭組、支店とは言え、今後の益々のパワーアップは間違いないだろう。とはいうものの、不動倭、勝小虎の魅力は、あくまで本店の中で輝くことができることも忘れてはなるまい。これまで、不動倭には晃大洋、勝小虎には津川竜という、力強い「後ろ盾」があったのだ。観客(私)は双方の「阿吽の呼吸」「絶妙のコントラスト」を楽しむことができたのに・・・といった「一抹の不安・淋しさ・無念さ」を払拭できないこともまた事実なのである。「動」の倭、「静」の小虎、合わせて「侠」「剛」「朴」は倭、「粋」「爽」「艶」は小虎といった分担が功を奏し、その曼荼羅模様が楽しめたら、などと身勝手な思いを抱きながら帰路に就いた次第である。今後の精進・活躍に期待する。
巡礼巡礼
(2009/08/28)
橋本 治

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2017-10-07

劇団素描・「剣戟はる駒座」・《舞踊の至芸は「唐人お吉」》

【剣戟はる駒座】(座長・津川竜)<平成19年12月公演・十条篠原演芸場>
1 開幕前の「若手」(子役)紹介は、劇団員と観客の交流を深めることができ、すばら しい企画だと思う。今日の舞台で「どんな役を演じるか」「どんな舞踊 に登場するか」 「決意」など、できれば本人の口から、(一言づつでも)披露すれば、もっとよい。
2 ミニショー・「林あさ美メドレー」
舞踊ショーに「テーマ」を設けることは、よい。どの劇団でも「顔見せ」「皮切り」「プロローグ」的な位置づけで演じているようだが、「はじめが肝心」(劇団の魅力を集中して見せることが大切)だと思う。各役者の「極め付き」を披露してみてはどうか。「氷川きよし」「天童よしみ」「都はるみ」「五木ひろし」「ちあきなおみ」など歌唱力豊かな歌手のメドレーを期待する。
3 芝居・「京都の落日」
不動倭の「三枚目」(酔客)が秀逸。<「藤山寛美」+「桂枝雀」÷2>という演技で、さわやかな印象を受けた。下賀茂神社の葵祭の景色は、大勢の役者を揃え、大劇場での舞台を思い起こさせるほどの、壮観さだった。
 殺陣、立ち回りも見事で、かつての「新国劇」を思い出す。特に、刀身が「切られ役」に接触する迫真の演技は、他の劇団とは違う。「しじみ売り」をはじめ、大勢の子役が、舞台の景色を「きめ細やかに」惹き立てていた。
4 口上
座長と不動倭の「掛け合いが」絶妙の呼吸で、「世相漫才」そのものだった。観客は、「口上」を通して、劇団の「人間関係」「内情」を「のぞき見」したいと思っている。劇団によっては「口上」を「売り」にしているところもあるくらいで、ますますの充実・発展を期待する。
5 グランドショー・「唐人お吉」他
唄いながら客席隅々まで「あいさつ」する座長、舞台で踊る津川しぶき、勝小虎、観客一人一人を最後の一人まで大切にする「誠実さ」に心打たれた。当日は、二曲目「夢芝居」だったが、「演歌みたいな別れでも」(・・・赤羽行きの夜更けの電車・・・)も聴きたかった。
「股旅シリーズ」など、テーマを設けた舞踊ショーの演出は、よい。津川らいちょう・しぶき兄弟の舞踊は「見事」。(将来、龍美麗・南條影虎兄弟を超えるのではないか)東海林太郎・三橋美智也はらいちょう、三波春夫・村田英雄はしぶき、というように「踊り分ける」のも面白い。三橋美智也は「優雅に」、三波春夫は「豪快に」、村田英雄は「憂愁を帯びて」といった雰囲気(表情)が醸し出されれば、「珠玉の舞台」となるだろう。
劇団指導・勝龍治の舞台は「芝居」「舞踊」ともに「さすが」の一語に尽きる。これまでに培われた「大衆演劇」の真髄を目の当たりに感じ、日頃の疲れが消え去る思いだった。(「芝居」(仇役)の重苦しさを払拭するために、「浮かれ」調子(「大江戸出世小唄」「チャンチキおけさ」のような「舞踊」も必要)
 座長演出の「唐人お吉」は名舞台。特に、落ちぶれたお吉を「後ろ姿」だけで踊った勝小虎、若き日のお吉を華麗に踊った座長のコントラストは感動的で、「至芸」という他はない。座長の「女形」は、往事の「淡島千景」を彷彿とさせてくれる。
6 この「劇団」の素晴らしさは「役者の人数が揃っている」(人数を揃えることは大変な 努力が必要であり、日頃の御苦労に敬服します)ことである。脇役、特に「立ち回り」「殺陣」の動き、切られ役の所作に、「実力」を感じた。
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2017-07-27

劇団素描・「剣戟はる駒座」・《劇団の今は「旬」、「真っ盛り」》

【剣戟はる駒座】(座長・津川竜)〈平成25年3月公演・浅草木馬館〉
午後5時から、浅草木馬館で大衆演劇観劇。「剣戟はる駒座」(座長・津川竜)。どこの劇団にも「浮き沈み」(栄枯盛衰)があるものだが、今や、この劇団は「旬」、隆盛を極めている。座長の長男・津川らいちょうが成人を迎え、その弟・津川しぶきの成長も著しく、彼らの母・晃大洋、不動倭の「達者」振り、花形・勝小虎の「控えめな」魅力、後見には、斯界の重鎮・勝龍治がどっかりと構えている、といった案配で、その「勢い」たるや、「飛ぶ鳥を落とすがごとき」舞台景色であった。芝居の外題は「明け鴉」。一匹の素浪人(座長・津川竜)が、手傷を負い、それを助けた一家女親分(晃大洋)のために、みずから任侠の道に入り、一家のため恩返し(仇討ち)をするという、「他愛もない」筋書きだが、見所は随所、随所に散りばめられていた。というのも、この劇団の役者一人一人は、芝居の中でピンマイクを、一切使わない。その結果、「一声、二振り(顔)、三姿」という役者の第一条件が、確実に満たされるのである。(生の)「声」が「振り」になり、「振り」が「姿」を創出する、という演技の基礎・基本が着実に培われるのだ。今日の舞台では、座長の「明朗闊達」を筆頭に、晃大洋の「姉御肌」、らいちょうの「健気さ」「初々しさ」、不動倭の「侠気」、敵役・勝龍治の「貫禄」「洒脱」、勝小虎の「いぶし銀」、女優・千晶ららの「華麗」「可憐さ」等々、それぞれの個性が随所で輝き、文字通り「剣戟」の魅力を十分に堪能することができた。また、グランドショー(歌謡・舞踊ショー)に登場した、駒鳥姉妹(晃大洋・不動倭)の「転がる石」は絶品、珍奇な風情とは裏腹に、ピタリと息の合った「歌唱力」は半端ではなかった。極め付きは、勝小虎の女形舞踊「あんた」(唄・吉幾三・千昌夫)、歌を聴くだけでは「なんぼのもん」と思われる作物であっても、舞踊が添えられることによって「名曲」に変貌する、その典型的な舞台であった、と私は思う。この勝小虎という役者、2006年9月より劇団参加、同期の不動倭のかげに隠れて、あまり「目立たない」存在だが、どうしてどうして、その「目立たなさ」が「目立つ」という、「いぶし銀」の魅力をもっている。以下は、今からほぼ6年前(平成19年12月)、篠原演芸場の舞台で観た、私の感想である。〈座長演出の「唐人お吉」は名舞台。特に、落ちぶれたお吉を「後ろ姿」だけで踊った勝小虎、若き日のお吉を華麗に踊った座長のコントラストは感動的で、「至芸」という他はない〉。今日もまた、「至芸」の一つを鑑賞できたことは、望外の幸せであった。「今月は木馬(館)で存分に楽しめる」、そんな思いで、心浮き浮き、帰路に就くことができたのであった。
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(2006/12/06)
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2017-06-02

劇団素描・「剣戟はる駒座」・《「お芝居二本立て」の実力》

【剣戟はる駒座】(座長・津川竜)〈平成21年7月公演・浅草木馬館〉)                                        「毎週火曜日お芝居二本立て」と場内の貼り紙にある通り、今日は芝居の前狂言、外題は「恋の高岡」(悲劇)、切り狂言の外題は「桶屋さん」(喜劇)、加えて、「唄と踊りのグランドショー」という三部構成であった。さて「恋の高岡」、主演・若侍・高岡コウジュウロウに花形・不動倭、その供奴に副座長・津川らいちょう、敵役の侍・青山に花形・勝小虎、大店の主に太夫元・勝龍治、その娘、おみつに女優・晃栄みずほ(らしい?)、番頭に座長・津川竜、高岡家出入りの刀鍛冶に女優・晃大洋といった配役で、筋書きは単純、花見客でごったがえす往来で、大店の娘・おみつが素行不良の侍たち(青山一味)に絡まれる。それを助けたのが高岡コウジュウロウで、しかも娘に「一目惚れ」、双方とも気に入って「婚約」まで取り交わす仲となったが、邪魔に入ったのが青山一味、ある夜、高岡宅に忍び込んで放火、屋敷を半焼させる。供奴に救い出されて高岡、一命をとりとめたが顔面に大やけど、おみつはあっさりと「心変わり」して青山との祝言を企てた。どうしてもおみつを忘れられない高岡、番頭を呼んで問いただす。番頭の話「近頃は、お店の屋台骨が傾いて借金地獄、おみつお嬢さんは借金のかたに嫁いでいくのです」「で、その借金はいくらなのだ?」「ざっと見積もって三百両」「三百両あれば、嫁がなくてもすむのか」「おっしゃるとおり」。高岡は供奴の制止も聞かず、妖刀・五色丸(高岡家の家宝、久しく行方知れずになっていたが、出入りの刀鍛冶が見つけ出し、百両で買い戻してあった業物)を番頭に手渡して、いわく「これを金に換えれば三百両になる。どうかおみつさんを救ってもらいたい」。番頭「わかりました」と引き受けたが、実は名うての大悪党、まんまと刀を金に換えて四百両「ねこばば」してしまう。何も知らない高岡、おみつと青山の祝言の場に駆けつけ、「その祝言、待った!」と抗うが、一同、唖然として、「けんもほろろ」の雰囲気、そこに番頭登場して真相を暴露、高岡を「田舎侍」と罵倒した。呆然自失、消沈して一旦は帰りかけた高岡だが・・・。見る見る「形相」が一変、振りかざした一刀で座敷の灯(蝋燭)りを「切り払う」と舞台は闇の中、冷たい刃の光だけが「独り歩き」するように、青山一味、大店の主、番頭たちに「吸い寄せられ」、次々と斬殺を繰り返す。怪談劇風のおどろおどろしい「修羅場」が展開する、そして最後は、恋い焦がれた愛しいおみつにまでも運命の刃が・・・。殺人鬼(幽霊の風情)となった高岡コウジュウロウ、最後に一言、息も絶え絶えに「・・・慎むべきは色情の道・・・」と叫んで幕となった。なるほど、悲劇。しかも、眼目は「慎むべきは色情の道」。ごもっとも、おっしゃるとおり!悲劇「恋の高岡」は、屈指の出来映えであった、と私は思う。続いて切り狂言「桶屋さん」。こちらは、がらりと空気が変わって、桶屋夫婦(といっても爺・津川竜、婆・勝龍治)と、使用人(桶職人)A・不動倭、B・勝小虎が繰り広げるスラップスティックコメディ(ドタバタ喜劇)で、どちらかといえば「松竹新喜劇」風だが、「ドリフターズ」っぽい雰囲気も漂って、大いに楽しめた。
この劇団、関東公演の見聞は4回目だが、①役者の数が多いこと(16人)、②座長の出番が多いこと(グランドショーでは5~6回)、③番組内容が多いこと(火曜日は芝居二本立て、グランドショーでも「こまどり姉妹」、ミニコント、相舞踊、組舞踊、群舞、歌のステージ、口上での「掛け合い」等々、「見せ場」がプログラムのあちこちに散りばめられていること)、④リピーターの観客を大切にしていること(ポイントカードの有効期間は2年間)、においては「ピカイチ」である、と私は思う。加えて、芝居ではピンマイクをはずし、役者の「肉声」(口跡)で勝負する、そのことが役者一人一人の「演技力」をどれだけ向上させていることか。集音マイク装置のない劇場では、役者の「声帯」「喉」を守るためにピンマイクの使用は「今や常識」だが、あえてその常識に挑戦、より「艶やか」、より「美しい」舞台を提供しようとする劇団の姿勢に脱帽する他はない。今後、ますますの発展をお祈りする次第である。
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2017-06-01

劇団素描・「剣戟はる駒座」・《関東公演、「こだわりの舞台」をありがとう》

【剣戟はる駒座】(座長・津川竜)〈平成21年7月公演・浅草木馬館〉                                          案内パンフレットによれば、〈剣戟はる駒座 平成9(1997)年津川竜座長が旗揚げ。劇団名の「剣戟」はお芝居全般を意味し、お芝居をしっかりやっていこうという劇団のスタイルを象徴。その名の通り、「嵐劇団」から受け継ぐお芝居やオリジナルのお芝居、舞踊ショーなども充実している。座長のこだわりが随所に見られる舞台には定評がある。座長 津川竜 昭和45(1970)年2月15日生まれ 広島県出身。血液型A型。3歳頃に初舞台を踏む。15歳の時に「嵐劇団」に入団し、勝小龍座長(故二代目・小泉のぼる)に弟子入り。その後「桐龍座 恋川劇団」に入団し腕を磨く。平成9(1997)年、「剣戟はる駒座」を旗揚げ、2007年で10年目を迎えた。副座長 津川らいちょう 平成5(1993)年5月11日生まれ。大阪府出身。津川座長の長男。幼少の頃より勝小力の名で舞台に立つ。平成15(2003)年10歳で副座長を襲名、名を津川らいちょうに改める、津川しぶきは弟である〉ということである。また、キャッチフレーズは〈大衆演劇(エンターテイメント)の世界をはばたく鳳、翔る竜 関東上陸!!!今までに見たことのない大衆演劇 ロングランツアー関東公演始まる 津津浦々に色を染め 大海目指す金色の竜 剣戟はる駒座〉であった。劇団員は、花形・勝小虎、不動倭、若手リーダー・津川隼、女優・晃大洋(座長の妻)、太夫元・勝龍治(晃大洋の実父・座長の義父)といった面々である。実を言えば、この劇団、私は初めてではない。平成19年12月(1年7カ月前)に、今回同様、浅草木馬館でその舞台を見聞している。その時の感想(主として音響効果への配慮要請、具体的には、芝居中、ワイヤレスマイクの撤去)を座長宛に送付したところ、丁重な返信と謝礼を頂戴した憶えがある。また、今回の関東公演に際しても、お誘いの御案内を頂いていた。ほぼ1年半ぶりの舞台、芝居の外題は「薄桜記」であった。かつての大映映画(市川雷蔵、勝新太郎主演)を下敷きにした筋書で、忠臣蔵外伝と言おうか、要するに中山安兵衛(不動倭・映画では勝新太郎)とその朋輩・丹下典膳?(座長・映画では市川雷蔵)の友情物語である。中山が秘かに思いを寄せていた娘は丹下の妻に・・・、その妻が仇役侍(勝龍治)一党の手にかかって「手籠め」にされたうえ、中山との「不義密通」の疑いをかけられる、といった複雑・深刻な景色を、なんと劇団の面々はピンマイク無しの「肉声」(口跡)だけでやってのけた。私は、舞台を見つめながら涙が止まらなかった。一年半前に、弄した素人(私)の戯言を精一杯聞き入れてくれたのだ。マイクの撤去によって、どれだけ舞台の景色・風情が艶やかに彩られるようになったことか、あらためて役者一人一人の「声の美しさ」(魅力)を味わうことができたのであった。
 舞踊ショーラストの、沖縄民謡スーパーチェイサーも「天下一品の出来栄え、座員一人一人のエネルギーが結集した「群舞」で、力みなぎる「渾身の舞台」であった、と、私は思う。案内にあったように(看板に偽りなく)「今までに見たことのない大衆演劇」「座長のこだわりが随所に見られる舞台」を十分に満喫・堪能して帰路についた次第である。
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