META NAME="ROBOTS" CONTENT="NOINDEX,NOFOLLOW,NOARCHIVE" 脱「テレビ」宣言・大衆演劇への誘い 劇団美鳳
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2018-02-12

劇団素描・「劇団美鳳」・《芝居「マリア観音」&「子持ちやくざ」の舞台模様》

【劇団美鳳】(総座長・紫鳳友也)〈平成27年11月公演・小岩湯宴ランド〉
 芝居の外題は名作「マリア観音」。この名作が名舞台に仕上がるには必須の条件がある。その条件とは、一に主役・霞の半次郎の初々しさ、二に父・阿部豊後守の風格、三に母・お蔦の隠された色香、その魅力が三つ巴となって終局の名場面に結実化していくのだが・・。筋書きは、長崎で知り合った阿部豊後守とお蔦、しかし諸般の事情で豊後守は江戸へ、後を追ったお蔦の胎内には半次郎が宿っていた、やがて16年の月日が流れたが、豊後守はお蔦のことが忘れられず、未だに独身、御禁制のマリア観音を隠し持ち、「再会」を祈っている。お蔦は貧しい長屋暮らし、倅の半次郎は「父なし子」の負い目から「やさぐれて」スリの仲間へ、ある時、運命のいたずらか、半次郎は豊後守の懐から印籠を掠め取った。それをお蔦に見咎められ、自分の父が豊後守であることを明かされた。「自分にはお父っつあんがいたんだ。しかも、そのお父っつあんから盗んでしまったのか」。悔恨と慕情が入り混じり、半次郎は家を飛び出していく。「何てことを!。奉行に出世したあなたの子どもが盗人だなんて・・・・私は育て方を間違えました」。お蔦は自刃する。半次郎、何も知らずにスリの仲間に合流すると、兄貴分「今、これを豊後守の家から盗んできた」とマリア観音を披露した。「これは御禁制の品、豊後守を窮地に追い込める宝物だ」と喜ぶ連中を、半次郎は斬殺し、マリア観音を豊後守に届けるというお話である。
 本日の舞台、配役は父・豊後守に総座長・紫鳳友也、母・(お蔦改め)こよしに扇さとし、肝腎の半次郎は一條静香?、それとも一條明日香?、半次郎をやさしく見守る十手持ち親分(豊後守配下)・銀次に座長・一城進悟、スリの兄貴分・城秀人、という面々であった。名舞台に仕上がる必須の条件の一、霞の半次郎の風情はやや生硬だが、精一杯の熱演で好感が持てた。二の豊後守は、「武家」としての貫禄は不足気味、三の母・こよしに至っては「艶」不足が目立って興ざめな結果に終わってしまった、と私は思う。やはり、半次郎の母は「女優」が担うべきであろう。例えば、一條静香ならと誰しも思うはずだが、それが叶わなかったとすれば、半次郎を演じたのは静香だったのか・・・・?、など「判然としないまま」幕は下りてしまった。扇さとしという役者は、大月瑠也、春川ふじお、を兄弟に持つ実力者、以前に見聞した「瞼の母」の舞台でも、お浜役を「演じさせられて」(損をしていた)が、まだ兄・大月瑠也の「域」にまでは達していない、ということである。
 夜の部・芝居の外題は「子持ちやくざ」。こちらは関東風・痛快剣劇の「典型」で、親分を闇討ちされた仏一家の通夜に忍び込んだ旅鴉(総座長・紫鳳友也)が、空腹の余り、供えられた陰膳を掻っ込んでいるところを子分衆に見つかり、打擲されていたが姐さん(一條静香)の温情で許されたそのうえに、羽織までプレゼントされる。折しも、川向こう一家の殴り込みで、現場は大混乱、旅鴉あわてて羽織を持って逃げだそうとしたが、手にしていたのは一家の仁代目を継ぐべき赤児(抱き人形)であった、というお話。二景は数年後(四,五年?)、旅鴉は「子持ちやくざ」として、赤児を立派に育てている。仏一家は、凋落、今では病身の姐さんを、魚屋になって稼ぐ子分一人(芸名不詳の男優・好演)が養っていた。売れ残った魚を買い取ってくれる料理屋の老爺(座長・一城進吾)も居て、一家は細々と存続していたが、そこにやってきたのが件の旅鴉、「あの時の恩返し」と、川向こう一家(親分は扇さとし)を一網打尽、仏一家二代目(子役・四郎?)を姐さんに返上する。しかし、二代目(子役)いわく「ちがう、ちがう、あの人はおっ母ちゃんじゃない。生みの親より育ての親!おいらの親は、お父っちゃん、おめえだよ」と泣き崩れた。旅鴉「そんな聞きわけのねえ、お前は大嫌いだ。オレはお前のお父っちやんでなんかありゃあしねえ、近寄るな!」と(泣く泣く)制すれば、「そうか、じゃあこの家に残るから、おいらを嫌いだなんて言わないで・・・」と哀願する姿はお見事!大詰めは、去って行く旅鴉に向かって「ちゃーん、ちゃーん、ちゃーーん」という声が谺する。そのリフレインを掻き消すように、縞のカッパを回し負い、キッと体を固くして旅鴉の姿は花道に消えた。昼の部「マリア観音」の感動は不発に終わったが、その不満を取り戻すには十分な名舞台であった、と私は思う。大昔、浅草木馬館の常連(観音温泉の踊りの先生)が呟いた一言、「子どもが一番うまいや」という声が、また聞こえてきた。「子は宝」という至言は、今もまだ斯界では輝いているのである。



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2017-08-20

劇団素描・「劇団美鳳」・《客席風景》(平成20年6月公演・みのりの湯柏健康センター)

【劇団美鳳】(総座長・紫鳳友也、座長・林京助)〈平成20年6月公演・柏健康センターみのりの湯〉
 この劇団は、昨年、同じ場所で見聞したことがある。その時の様子を綴った雑文は以下の通りである。(内容は客席の様子で、舞台のことには触れていないが・・・)
 
 東京近郊の「健康センター」併設の劇場、開演1時間前に、七十歳とおぼしき男性客が一人で入ってきた。桟敷に座布団、客はまばらである。「ええと・・・。どこに座ってもいいのかな?おねえさん(劇場従業員)、芝居見たいんだけど、どこに座ってもいいの?」従業員が応じる。「座布団の上に荷物がなければ、どこでもいいですよ」「ああ、そう。じゃあ、どこがいいかな・・・」と言いながら、あちこちと見やすそうな席を物色している。見かねた常連客(女性・七十歳代)がアドバイスした。「そこが見やすいわよ、そこにしたら?」「ああ、そう・・・。ここが見やすいの。じゃあ、ここにしよう」と言って男性客は荷物を置き、常連客に話しかける。「ありがと、おかあさん(常連客)。よく見やすい席、知ってるねえ。いつも来てんの?そうか、わかった、おかあさん、ひょっとすると『おっかけ』だろ。そうだ、そうだ、『おっかけ』にちがいねえや」常連客は、「はばかりさま、大きなお世話!」という風体でそれには応じなかった。しかし、男性客の言動は止まらない。あたりをキョロキョロ見回すと、再び従業員の所に行って、なにやら尋ねている。「初めてなんで・・・」という言葉の後は不明であったが、従業員の応答でその内容が私にはわかった。「お芝居の時はだめです。舞踊ショーになったら、役者が近くに来ますので、その時にあげてください」役者に御祝儀をプレゼントするタイミングを尋ねたのである。席に戻った後も、男性客は続々と詰めかける観客を相手に大きな声で話しかける。「オレは芝居が好きなんだよ。一度、こういうところで見てみたくてね。楽しみにしてきたんだ」客席は「大入り」となったが、開演直前まで男性客の声は聞こえていた。(うるさい客が雰囲気を壊さなければよいのだが・・・)と、誰もが感じていたに違いない。だがしかし、である。開幕と同時に、男性客の(耳障りな)声はピタリと止まった。「オレは芝居が好きなんだよ」という言葉は真実だったのである。大勢の観客の中に同化し、誰もが男性客の存在を忘れて、芝居は終わった。さて、いよいよ舞踊ショーの始まりである。(はたして件の男性客は御祝儀をプレゼントできるだろうか)「大入り」の客席は、熱気に包まれ、身動きできない状態の中、番組は次々と進行し、とうとう総座長(「劇団美鳳・紫鳳友也)の登場となった。(この雰囲気の中で初めての客が「花を付ける」ことは無理だろう)と私は思っていた。だがしかし、である。総座長が客席に降り、男性客の席に近づいたとき、周囲の客に「押し出されるように」して、彼自身は(スポットライトを浴びながら)役者の前に進み出ていたのである。ふるえがちな手で、しわくちゃの一万円札を総座長の懐に押し込むと、求められた握手も振り払い、顔を真っ赤にして、恥ずかしそうに席に戻る。周囲の拍手喝采が一段と高まった。
 私は、この男性客の積極的な「コミュニケーション能力」、「行動力」に敬服する。初めての場所で、初めての人たちを相手に、「初志貫徹」した、彼の「実践力」こそ「大衆演劇」を支える「大衆のエネルギー(源泉)」そのものではないだろうか。

 さて、「劇団美鳳」は、「劇団紹介」によれば「プロフィール 東京大衆演劇協会所属。平成15(2003)年旗揚げ。総座長・紫鳳友也 昭和55(1980)年6月8日生まれ。大阪府出身。血液型AB型 座長・林京助 昭和48年(1973)年11月27日生まれ。大阪府出身。血液型AB型」とある。何とも「そっけない」内容で、必要最小限の情報しか記されていない。また、キャッチフレーズは、「華麗な兄弟座長が、熱と力で魅せる舞台。華やかな紫鳳哲友也と、個性が光る林京助。二人の座長と、個性豊かな座員がずらりと揃った関東の人気劇団。二人に座長、副座長・北城嵐、頭・東城夢之介、花形・扇さとしと、芸達者が肩を並べているので、人情芝居、剣劇、喜劇、何でもこなせる守備範囲の広さが強みです」であったが、要するに「あっさり」した「関東風」の芸風が目玉ということであろう。「関東の人気劇団」であることは事実で、たしかこの劇場での「大入り」記録を持っているはずである。(昼の部では入場できないことも、しばしばであった)人気の秘密は、男らしい、武張った雰囲気の(それでいてどこかコミカルな)林京助、対照的に、華麗で艶やかな(どこまでも真面目な)紫鳳友也の二人が「醸し出す」コンビネーションの妙にあると思われるが、それを脇から支える扇さとし、東城夢之介の存在も不可欠、さらには、後見(副座長?)・北城嵐の「実力」が舞台全体の礎となっていることは間違いない。 
 今日は、舞踊ショーだけを見聞したが、林京助が踊った「ブランデーグラス」の歌声は石原裕次郎ではなかった。林京助が(踊りながら)舞台袖の幕を「そっと開け」歌い手を見せようとする。でも、その歌い手は決して客席に顔を見せようとしない。裏方に徹しているのである。いったい誰が歌っているのかは「知る人ぞ知る」、私にはわからなかった。そしてまた、その歌声のすばらしさは、石原裕次郎を「はるかに」超えていたのである。このあたりが「関東風」の演出で、客の人気を「かっさらう」源ではないだろうか。ラストショーの一つ前は「道頓堀人情」(唄・天童よしみ)、出色の役者が登場したが、誰だか私にはわからない・「劇団美鳳」といえば、林京助・紫鳳友也、後は扇さとしのはずだが、いったいあれは誰なのか。
 もし、それが北城嵐だったなら、私はすべてを納得する。「後見」「副座長」などという役柄は、まさに「補佐」、「決して目立たない」ことが条件になるからである。
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2017-07-23

劇団素描・「劇団美鳳」・《芝居「花かんざし」》

【劇団 美鳳】(総座長・紫鳳友也)((平成20年6月公演・柏健康センターみのりの湯〉
 6月4日に観た感想を送ったので、その結果を確かめに来た。芝居の外題は昼の部「花かんざし」、夜の部「裏通り」。いずれも、「関東風」の「美学」(舞台模様)を追求しようとする「姿勢」が窺われる。例えば、「花かんざし」。旅姿の姉妹登場。妹は盲目、その目を治しに行く途中、姉が病(持病の癪)に倒れた。妹が水を探しに退場したところに、素浪人(林京助)登場。姉を一刀両断、懐から目の治療代三十両を盗み取る。そこへ一匹のヤクザ者(紫鳳友也)登場。顔の左半分は大きな痣、目を背けたくなる容貌であった。素浪人、ヤクザと一瞬、目と目を合わせるが、「このことは内密に」という仕草、一両手渡して退場。そこへ盲目の妹、再登場。姉の姿に驚愕、泣き崩れた。
ヤクザ者、とりあえず妹の面倒を見る羽目に・・・、自分の家に連れて行く。  
 妹は元気をとりもどし、ヤクザ者との共同生活、二人はいつしか惹かれ合うようになった。「心の綺麗な人は、顔も綺麗。あなたの顔を触らせて」という妹に、ヤクザ者はとまどう。こんな顔を触らせることはできない。そこへ、弟分(扇さとし)がやってきた、賭場で間違いを犯し、追われている、助けて欲しいという。ヤクザ者、「わかった、助けてやるから、オレの頼みも聞いてくれ」「何ですか?」「お前の顔を触らせてくれ」「???」事情がわかった弟分、妹に顔を触らせようとするが、その場の雰囲気を察した妹、「誰か(他の人が)いるの?」と問いかける。ヤクザ者、とっさに、「ウン、隣のおじさんが来ている。でもおじさんは、言葉が話せないんだ」と、取り繕った。かくて、この芝居には、三者三様の「障害者」が登場することになったのである。しかし、まもなく医者が登場、ヤクザ者の家にやってきて「いい薬が手に入った。三十両あれば、娘の治療ができる」と告げる。その治療費を調達しに出て行ったヤクザ者の留守中のこと、弟分も妹の「美しさ」に惹かれ、「隣のおじさん」として「花かんざし」をプレゼント、帰ってきたヤクザ者とはちあわせとなる。ヤクザ者、嫉妬を抑えきれないが、今は娘の目を治すことが先決、迎えに来た医者に妹を託す。その後の詳細は失念したが、要するに、①目の治った娘は、弟分をヤクザ者と(ヤクザ者は「隣のおじさん」だと)見間違える、②ヤクザ者と弟分は協力して、賭場の一家と素浪人を退治する、③ヤクザ者は弟分に娘を譲る、④娘は「最後に」
真相を理解する、といった内容で、クライマックスは、ヤクザ者が「隣のおじさん」(言語障害者)の「ふりをする」場面だったと思う。 
 筋書としては、「よくできた」芝居だが、それを舞台にする(演じる)段になると、「関東風」の「美学」が妨げとなって「人情味」に欠けるような感じがしたが、それはあくまで「好み」の問題・・・。「大入り」の観客は、大いに満足しているように見えた。
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2017-03-20

劇団素描・「劇団美鳳」・《芝居「瞼の母」の舞台模様》

【劇団美鳳】(総座長・紫鳳友也)〈平成25年2月公演・小岩湯宴ランド〉
芝居の外題は、御存知「瞼の母」。私は、この芝居(の舞台)を「劇団竜之助」(座長・大川竜之助)、「桐龍座恋川劇団」(座長・恋川純弥)、「劇団翔龍」(座長・春川ふじお)で見聞している。出来映えの決め手となるのは、何と言っても「瞼の母」・お浜の風情だと思われるが、群を抜いていたのは、「劇団翔龍」の中村英次郎(当時)であった。今日に配役は、番場の忠太郎に総座長・紫鳳友也、お浜に扇さとし、娘・お登勢に一城静香(?)、夜鷹・おとら(ざつき?)に座長・一城進吾、素盲の金五郎に後見・城秀人という面々・・・。幕開けから大詰めまで、中村富士夫の「浪曲」を下敷きにした演出であった。その浪曲について、私は以前、以下のように評した。〈中村冨士夫の作物、冒頭は、番場の忠太郎の「仁義もどきのお目見え」から始まる(その中で「まだくちばしの青い身で」という件があったが、「嘴が黄色い」方が自然ではないだろうか、まあそんなことはどうでもいい)。瓦屋半次郎宅の場面は省略、料亭水熊の店先、忠太郎とおとら婆さんの絡みが初場面という演出だが、どうやら水熊の女将が自分の母親らしいと「確信」した後の「歌謡」が素晴らしかった。いわく「わずか五つのあの時に 別れて二十有余年 会いたい見たいと神かけて 祈り続けた母親と 年も名前もいっしょなら 生まれ在所もまた同じ どうか尋ねる母親で あってくれよと眼を閉じりゃ 母は恋しいなつかしい」。はやる忠太郎の気持ちが真に迫って描出される。演者は男とあって、いとも自然に忠太郎の風情が伝わってくるという按配で、とりわけ「おかみさん、とんだお邪魔でござんした。二度と再び忠太郎、お宅の軒はくぐりません。ごめんなせえっ」という「決め科白」が清々しかった。加えて大詰め、待乳山で待ち伏せた素盲・金五郎に向かって「・・・おうっと危ねえ、よせったら。畜生、じゃあ聞くがナ、てめえ、親がいるか」「そんなものァねえや」「兄弟は・・・」「いるもんけえ」「よし、じゃあ斬ってやらァ。なんだい、そんなへっぴり腰をしやがって・・・。それじゃァ人は斬れねんだ。斬るというのァ、こうやるんだっ」という「やりとり」の中に、アウトロー同士の荒んだ景色が仄見えて、やるせない。終末、「あとは静かな夜の闇 雲が流れた月が出た どこへ行くのか忠太郎、風に流転の三度笠」「ああ浅草の鐘が鳴る あれは竹屋の渡し船 影を姿を送るよに 声をじまんの船頭が 泣いているよな隅田川」という、寂寥感漂う中村冨士夫の語りの中には、まさにこの作物の眼目(愛別離苦)が、否応なしに結晶化されているのであった〉。今日の舞台の随所、随所には、中村富士夫の語りや節が添えられて、見事な景色を描出していたが、扇さとしのお浜は、(残念にも、まだ)中村英次郎には及ばなかった。以下は当時の(「劇団翔龍」の舞台の)感想の一部である。〈忠太郎は「優しい」、でも「どこか頼りない」、そして「甘ったれ」、言い換えれば「根っからの悪ではない」「母性本能をくすぐる」といった風情を、座長・春川ふじおは「自家薬籠中」の「至芸」として演じきった、と私は思う。加えて、脇役陣も光り輝いていた。筆頭は、おむら・おはまの二役を演じた後見・中村英次郎、百姓婆姿の(大地のような)「優しさ」、江戸一番の料理屋を取り仕切る女将の「艶やかさ」を見事に演じ分け、忠太郎との「絡み」では、その所作、表情、口跡で「もう、立派に親子名乗りをしているのではないか」という風情を醸し出す。応えて、忠太郎もまた、(母と言い出せぬおはまの気持ちを察して)「こんなヤクザにだれがしたんでぃ」と叫ぶ一瞬は、まさに「珠玉の名画」、私の脳裏から消えることはないだろう〉。「劇団美鳳」もまた、関東随一の人気劇団、扇さとしは春川ふじおの実弟、そしてまた、中村英次郎は「劇団翔龍」にはもういない、だとすれば、今後、芝居「瞼の母」の極め付きを描出できる日も遠くはないだろう、などと期待しつつ、帰路に就いたのであった。
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