META NAME="ROBOTS" CONTENT="NOINDEX,NOFOLLOW,NOARCHIVE" 脱「テレビ」宣言・大衆演劇への誘い 役者点描・知る人ぞ知る、名優・蛇々丸の「つっころばし」
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2018-08-12

役者点描・知る人ぞ知る、名優・蛇々丸の「つっころばし」

斯界(大衆演劇界)の名優・蛇々丸は、今頃どうしているだろうか。私が彼の舞台姿を初めて観たのは、平成19年11月、みのりの湯柏健康センターであった。「鹿島順一劇団」公演で、芝居の演目は、「会津の小鉄」。前景は小鉄の女房が自刃、「私の首を手土産に、男を立てておくんなさい」という切ない愁嘆場の景色で終わった。それとは打って変わって「つなぎ」の明るい場面に登場。京都で一稼ぎしようとやって来た素浪人・宮本ムサクルシという役柄であった。当日は、なぜか客と劇団の呼吸がかみ合わず、全体的に盛り上がりに欠けた出来栄えであったが、春日舞子と蛇々丸の演技は光っていた。舞子は小鉄の女房役、「目を開けたまま」盲目の風情を醸し出す、健気な女性像を見事に描出する。一方の蛇々丸は、腹を空かせた貧乏侍、薄汚れた衣装ながら、色欲だけは人一倍旺盛とみえて、通りかかった年頃の娘(実は、小鉄の仇敵・名張屋新蔵の愛娘・三代目鹿島虎順)に「まとわりつく」といった(損な)役柄であったが、「表情・仕種だけで笑いを誘う」姿が、彼の「実力」を十分に窺わせていた。以来、3年、私が「鹿島順一劇団」の舞台を観続ける羽目になったのは、蛇々丸の「存在感」あふれる、個性的な艶姿に惹かれたことも、その大きな要因の一つだといえる。芝居「忠治御用旅」の十手持ち、「大江戸裏話・三人芝居」の老爺、「あひるの子」の間借り人役では、斯界きっての実力者・二代目鹿島順一(現・甲斐文太)と五分に渡り合い、「一羽の鴉」「心もよう」「新月桂川」では主役・準主役、「源太しぐれ」「月とすっぽん」「人生花舞台」「噂の女」「紺屋高尾」「命の架け橋」では敵役、脇役、汚れ役、ちょい役等々、彼の十八番を数え上げればきりがない。中でも、天下一品、「蛇々丸でなければならない」のは、「春木の女」に登場する、京都大店の若旦那、いわゆる「つっころばし」の舞台姿であった、と私は思う。「つっころばし」とは「歌舞伎の二枚目の役柄の一。年若で突けば転がるような柔弱な男の役」(「スーパー大辞林」)の意。大店の次男坊として嫁取りの段になり、周りから「どうする、どうする!」と責め立てられてノイローゼ気味、気分転換に「釣り」でもと、春木の海にやってきた。息も絶え絶えな風情は、文字通り「つっころばし」で、その色香、滑稽さは「群を抜いて」いた。対照的なのが、漁師(没落した網元)の娘・おさき(春日舞子)、男勝りの気性で「可憐な」風情とは無縁だが、心底には、朴訥とした「親孝行」の温かさが流れている。加えて、その義母(甲斐文太)、義父(梅の枝健)、義妹(三代目鹿島順一)、若旦那の兄(花道あきら)らの、清々しい「人情模様」に彩られて、二人(若旦那とおさき)の愛が成就するという按配であった。それゆえ、蛇々丸の「つっころばし」は、舞子、文太、健、順一、あきら、といった他の役者連の中(チームワーク)でこそ「輝く」代物であったことは言うまでもない。蛇々丸自身、「演劇グラフ」(2007年10月号)のインタビュー記事で以下のように述べている。〈僕は「近江飛龍劇団」の魅せる、インパクトのある芝居、そして、「鹿島順一劇団」のジワジワと心にしみてきて最後に盛り上げる芝居から、両方の劇団のいいところを吸収できたと思いますね。役者をやる上で、本当にいい環境ですよね。いい経験をさせてもらったと思います。(略)僕は職人肌なので、舞台に立っているかぎりは、できるかぎりの事をしたい〉。記事の副題には「舞台では職人でありた」という言葉も添えられていた。多くの役者が名字(屋号)を持っており、本来なら「近江蛇々丸」とでも名乗るところだろうが、芸名は、あくまで(子役もどきの)「蛇々丸」(その由来・彼の干支は巳)でしかない。おそらく彼のモットーは、親分無しの子分なし、「一匹狼」の「職人芸」を極めることなのだろう。それが直截に具現されるのが個人舞踊。定番の「こころ」(唄・五木ひろし)は「立ち役舞踊」の名品、長丁場の「安宅の松風」(唄・三波春夫)は、弁慶・富樫・義経を踊り分ける「至芸の逸品」として、私の胸中・脳裏から離れない。文字通り「職人芸」の極め付きだと、私は確信している。さて、蛇々丸は、平成22年に「鹿島順一劇団」を退き、「浪花劇団」(座長・近江新之介、蛇々丸の実弟)に移ってしまった。はたして、今、どのような舞台姿を見せているだろうか。気がかりなことではある。(2011.1.31)



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