META NAME="ROBOTS" CONTENT="NOINDEX,NOFOLLOW,NOARCHIVE" 脱「テレビ」宣言・大衆演劇への誘い 付録・邦画傑作選・「限りなき舗道」(監督・成瀬巳喜男・1934年)
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2018-10-22

付録・邦画傑作選・「限りなき舗道」(監督・成瀬巳喜男・1934年)

 ユーチューブで映画「限りなき舗道」(監督・成瀬巳喜男・1934年)を観た。成瀬監督最後のサイレント映画である。舞台は東京銀座、カフェの女給二人が登場する。一人は島杉子(忍節子)、もう一人は中根袈裟子(香取千代子)。杉子はしとやかで控えめ、袈裟子は活発でドライと性格は正反対だが、仲良くアパートに同居している。隣の部屋には貧乏画家の山村真吉(日守新一)も居り、袈裟子に好意を感じているようだ。杉子には相愛のボーイフレンド・原田町夫(結城一朗)が居たが、故郷に縁談話があるようで、結着を迫られている様子・・・。ある日、カフェに映画会社・自由が丘撮影所のスカウトがやって来た。人気女優・東山すま子が急に引退を表明したので、その穴埋めを探しに来たのだ。四、五人の女給の中で白羽の矢が立ったのは杉子、翌日、出勤する杉子と袈裟子を待ち伏せしていたスカウト(笠智衆)が「女優になりませんか。今の10倍以上は俸給を払いますよ」と誘う。そういえば近々、杉子の弟(磯野秋雄)が上京、杉子と同居することになっている。袈裟子は早々に引っ越さなければならない、という事情もあって、杉子は女優業に食指が動いたか。出勤後、自由が丘撮影所に向かおうとして交通事故、走ってきた自動車にはねられてしまった。運転していたのは上流階級、山内家の御曹司・山内弘(山内光)。ケガは打撲傷、数日間の入院で済んだが、終始、見舞いを続けた山内が謝罪する。「こちらこそ、急いでいたので不注意でした。御迷惑をおかけしました」という杉子に心惹かれたか、杉子も山内の優しさ・誠意に絆されたか、加えて、入院中の杉子に連絡がとれなかった原田から離別の便りが届いたこともあってか、山内と杉子は「恋人同士」として結婚する。しかし、山内の母(葛城文子)や姉(若葉信子)は気に入らない。洋風、派手好き、上流階級の久山淑子(井上雪子?)を許嫁として迎えたかったらしい。何かにつけて杉子の振る舞いに「格が違う」と難癖をつける。 
 そんな折、袈裟子の方はちゃっかりと自由が丘撮影所と交渉、女優業に収まった。馴染みの画家・真吉にも撮影所の仕事を斡旋する。しかし羽振りのよかったのは初めだけ、近頃は「役がつかない」、真吉に向かって「あんたが近づくからだ」などと八つ当たりを始める有様だった。杉子と袈裟子、いずれも思い通りにならないのが人生・・・。
 いよいよ大詰めへ、姑、小姑の嫌がらせにじっと耐える杉子、彼女を守れずに苦しむ山内に「しばらくお暇をいただきます」と言って杉子は弟が居る元のアパートに戻っていく。事情を知った弟は「初めからこうなると思っていたよ。でもまた二人で働いて出直そう」と慰め励ます。自暴自棄になった山内は、杉子と幸せの時間を過ごした、思い出の箱根路を別の女とドライブ、「どこまで行くの?」と問われれば「俺はどこまでも突っ走りゃいいんだ!」、しかしその直後、転落事故を起こして重態に・・・。山内から家令(谷麗光)が迎えに来た。「世間体もありますのでお戻りください」。杉子は凜として「世間体のためならお断りします」。弟も断ったが「でも、お気の毒なあの人のためにお会いしましょう。私にはどうしてもお母さんやお姉さんに言いたいことがあるんです」。病室に行くと母と姉に囲まれて、山内は包帯姿でベッドの中、「杉子さん、弘はこんな姿になりました」という母の言葉をやり過ごして、杉子は山内の枕元に跪く。気がついた山内「杉さん、逢いたかった。僕は君を苦しめ通しだったね。でも心から君を愛している」と手を差し出せば、杉子も手を握り返し「でも私たちの愛だけではどうにもならないものがあるようです。あなたはいい方だけど弱かった」。その一言を最後に杉子は夫と決別した。母と姉に向かって「今日はお別れにまいりました。はっきり申し上げます。こんなことになってしまったのはみんなお母様とお姉様のせいです。お母様は初めから私を愛そうとはなさらなかった。」「それはひがみです」と姉が言い返せば「ひがみかもしれません。でもお母様が愛していたのは山内家という家名だったのです。それで母親と言えるでしょうか。それでいいのでしょうか」。うなだれる母、弘の呼ぶ声が聞こえる。立ち去ろうとする杉子に母が懇願する。「お願いですから弘のそばに居てやって下さい!」だがしかし、「私、失礼いたします」と言い残すと、杉子はドアの外に消え去った。まもなく山内の様態は急変し息を引き取る。しばし、杉子は廊下に佇んでいたが、哀しみに耐える強さが際立つ艶姿であった。サイレントとは言いながら、周囲の物音、人物の声が聞こえてくる名場面であったと私は思う。 
 ラストシーンは再び銀座、貧乏画家・山村が似顔絵の出店を出している。「ハイ、お弁当よ」とやって来たのは袈裟子、二人は結婚して貧乏生活を始めたようだ。「杉子さんが聞いたらビックリするだろうね」などと語り合う。杉子も元のカフェの女給に舞い戻った。自動車の運転免許を取り、仕事を見つけた弟も、愛車を見せにやって来る。「お茶でも飲んでいかない」と誘うが「少しでも、働かなくちゃ」、欣然と走り去った。見送りながら、ふと乗合バスに目をやると、座席には原田町夫の姿が・・・。うつむく杉子、通り過ぎる路面電車、歩く人々、車などなど賑やかな銀座の風景を映しながら、この佳品は「終」となった。 
 監督・成瀬巳喜男は「女性映画」の名手と言われている。なるほど、杉子、袈裟子、山内家の母、弘の姉、許嫁の久山淑子といった面々が見事な人間模様を描出している。上流家庭を守ろうとする女性たち、貧しくても幸せを求めてしたたかに生きる女性たち、その逞しさ・強さに比べて男たちは弱い。山内弘も原田町夫も「旧家」の家風(格)には抗えず、自らの人生を台無しにしてしまった。わずかに貧乏な山村だけが、ささやかな幸せを掴んだようだ。それにしても、最後、偶然に出会った原田と杉子、二人の今後の運命やいかに?「舗道」とは現代人が歩む道(人生)だとすれば、《限りなき》出会い、別離が繰り返されるであろうことも間違いない。(2017.1.30)



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