META NAME="ROBOTS" CONTENT="NOINDEX,NOFOLLOW,NOARCHIVE" 脱「テレビ」宣言・大衆演劇への誘い 付録・邦画傑作選・「浮草」(監督・小津安二郎・1959年)
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2019-01-05

付録・邦画傑作選・「浮草」(監督・小津安二郎・1959年)

 ユーチューブで映画「浮草」(監督・小津安二郎・1959年)を観た。私はこの映画の原点である「浮草物語」(監督・小津安二郎・1934年)について、以下のように綴った。
 〈小津監督は、戦後(1959年)「浮草」というタイトルでリメイクしている。喜八は嵐駒十郞(中村 鴈治郎)、おたかはすみ子(京マチ子)、かあやんはお芳(杉村春子)、信吉は清(川口浩)、おときは加代(若尾文子)と役名・俳優を変え、三井秀男も、三井弘次と改名し、今度は一座の座員役で登場している。もちろんトーキー、カラー映画の豪華版になったが、その出来映えや如何に、やはり戦前は戦前、戦後は戦後、その違いがくっきりと現れて、甲乙はつけがたい。二つの作品に出演している三井弘次ならば何と答えるだろうか・・・。〉
 物語の舞台を信州の田舎から、三重県の海辺に変え、時代も戦前から戦後に移ったが、あらすじはほとんど変わらないので割愛する。
 「浮草物語」同様に、この「浮草」も見どころ満載の名品であった。まず第一は、嵐駒十郞(中村鴈治郎)の風情である。旅回り一座の親方としての貫禄は十分、十年ぶりにやって来た海辺の町で、かつての情婦・お芳(杉村春子)と再会、一子・清(川口浩)の成長ぶりに目を細める。お芳は清を育て上げ一膳飯屋を細々と営んでいる。「御苦労やったな」と感謝する駒十郞の思いを受けとめつつ、駒十郞の舞台を惚れ惚れと見つめているお芳の姿も絶品であった。さればこそ、今の女房・すみ子(京マチ子)の気持ちは収まらないのである。「なんや、コソコソと・・・、あたしに隠れて」と迫るが、駒十郞も金箔付の遊び人「ゴチャゴチャ言うな!わいが、倅に会ってどこが悪い。もうお前との縁もこれっきりや」と渡り合う雨中のバトルは壮絶だったが、どこか哀愁も漂い、まさに「浮草」人生の極め付きであった。中村鴈治郎、杉村春子、京マチ子といった大スターが丁々発止と繰り広げる、三つ巴の愛憎劇が一番の見どころである。
 二番目は、初々しい加代(若尾文子)と清の「色模様」であろうか。どこまでも清々しく溌剌とした清を、初めは金銭ずくで誘惑する加代、次第に自分の「汚れ」を思い知り、身を引こうとするのだが、清の純真さに抗えない。大詰めでは、駒十郞に打擲されながらも、「親方!、あたしも一緒に連れて行ってください」という一言で、彼女の汚れは清められたのである。駒十郞は「可愛いこと言うやんか、しばらく面倒みてやってんか」とお芳に頼んで去って行く。かくて清と加代は結ばれ、お芳と三人で幸せな暮らしを始めるのだろう。
 三番目は、一人っきりになってしまった者同士の邂逅であろうか。駒十郞とすみ子は誰もいない駅舎で再会する。初めは目も会わさず、駒十郞はタバコを吸おうとマッチを探す。すみ子が近づいてマッチを擦るが、駒十郞は横を向いて応じない。しかし、すみ子はあきらめない。もう一本擦って、駒十郞の鼻先に差し出す。やむなく駒十郞はその火をもらって、大きく煙を吐く。ややあって「親方、これからどこへ?」「・・・・」「あたしは迷っていますねん」「・・・・」「ねえ、親方、教えてえな」「・・・、桑名でも行こうか。あそこの旦那に頼もうか・・・」「まあ、桑名!あたし、あそこの旦那とは懇意ですねん」すみ子の表情に光りがさした。「乗るかそるかや。もういっぺん、やり直すか」「やりまひょ、やりまひょ」。すみ子は窓口に飛んで行き「桑名、二枚!」と切符を求める。やがて二人は車中の人、仲良く酒を酌み交わす。この絶妙の呼吸は、たまらなく魅力的、「浮草」暮らしが、性懲りもなく再開するのである。
 四番目は、座員・吉之助(三井弘次)の「役者ぶり」である。同輩の矢太蔵(田中春男)と仙太郎(潮万太郎)が、先行きの見通しが立たない一座の空気を読んで「ドロン」の相談を始めると「オレはイヤだね。それで、これまでお世話になった親方に義理が立つと思うのか」と正論を吐きながら、気がついた時には親方の蟇口、文芸部のカメラ、座員の金などを掠めて雲隠れ・・・。その一芝居(手際)はお見事、それにしても三井弘次は「浮草物語」の信吉役(清役に同じ)、変われば変わるもの、その豹変振りには舌を巻いてしまった。
 最後は、町の床屋・小川軒の景色、看板娘のあい子(野添ひとみ)に弥太蔵は一目惚れ、「髭を当たってもらおうか」と迫ると、出てきたのは母(高橋とよ)、弥太蔵を一睨みして「座れ!」と手で合図する。弥太蔵は「まだ、そんなに伸びてないな」と尻込みしたが、お構いなく問答無用の態で、再度「座れ!」と強要する場面は抱腹絶倒、私の笑いはとまらなかった。かくて弥太蔵のホッペタには、大きな絆創膏が貼られる羽目になってしまったのである。
 さらに加えれば、すみ子が演じる劇中劇「国定忠治」の名場面、「オレには生涯てめえという強い味方があったのだ」という雄姿は、女っぽく仇っぽく、油の乗りきった京マチ子ならではの迫力があった。その、めったに見られない舞台姿を拝見できたことも望外の幸せであった。
 「浮草」は「浮草物語」から25年、時代、舞台を変えて見事に蘇った。一座の謳い文句(テーマ・ミュージック)は当時(1959年)はやりの「南国土佐を後にして」、そのメロディーが随所に流れて、面々の浮草稼業をひときわ鮮やかに彩っていた。それから、さらに58年、まさに「昭和は遠くなりにけり」といった今日、この頃ではある。
(2017.7.5)



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